ステップファザーにできること

発達障害の娘とやんちゃ息子の父によるステップファミリーの話

発達障害の娘の進学先を"特別支援学校”にした理由とは

現在は毎日のように特別支援学校に通っている我が娘は6歳になる。

 

私がステップファザーとなって、娘と一緒に住み始めてから一年も経たない内に娘の小学校をどうするべきか?という大きな問題に直面していた。

 

重度の発達障害で知的にも遅れが見られる我が娘。ついでにてんかん持ちである。

 

そんな娘の進学先に悩みに悩んでいた当時の葛藤を、発達障害の娘の現実と共に記していきたい。

 

幼稚園の頃の娘

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 私が妻と結婚し子供たちと一緒に住み始めたのと同じ頃、娘は保育園から幼稚園へと進学した。

 

娘は発達に遅れはあったが周りもまだまだ幼かった。毎日手を繋いで学校まで送っていた私が見る限り、そこまで周りとの差はなかったように思う。

 

ただあまり言葉が出てこないだけだ。

 

そのため何の疑問ももたずに普通の幼稚園に通っていて、担任とは別の娘専属の先生がついてくれていた。

 

加配(かはい)というらしい。

 

機嫌が悪いと友達を蹴ったり叩いたりとコミュニケーションに色々問題はありながらも、加配の先生が常に隣で見守ってくれることもあって友達もできた。

 

それなりに楽しい幼稚園生活を送っていて、馴染んでいたよ。私が見る限りね。

 

ただ言語に関しては、リハビリの先生も今後の成長具合についてははっきりしたことは言えないようだった。 

 

どちらにせよ一年もすれば言葉も出るようになるだろうし、もう少し他者とのコミュニケーションもマシになるだろうと考えていた。 

最初の狙いは支援学級!

先生はもちろん、私たち親も娘がどれだけ成長するのか未知数だった。

 

4歳から5歳の間にかなり言語のレベルが成長し、固有名詞を言えるレベルだったのがスムーズに二語文が出てきていたからである。

 

「ママ、くるのー?」「弟(名前)、おいでー」などなど、しょぼく見えるかもしれないがとても成長していたのだ。

 

そのため、幼稚園の入園前にはその系列の小学校にある支援学級に進む予定だった。

 

支援学級に入れば体育や音楽などの本人が得意な科目は通常クラスにも参加できるし、残りは支援学級で過ごすので能力的にも安心できる。

 

レベルは違えど、健常児と過ごす時間は何かしら娘の糧になるだろうと判断したのだ。

 

幼稚園に入る前には、発達障害の娘に理解を示ししっかりと向き合ってくれる意識の高い小学校を探し、その校区に引っ越しもしている。

 

準備は万端だった。

予想よりも伸びない娘

一つ誤算だがあったとすれば、それは娘の成長スピードである。

 

幼稚園を卒園する頃にはもう少し言葉が出てるかな、もう少し成長してるかなと想定していたのに、実際にはあまり、いやほとんど変わらなかった。

 

幼稚園やデイサービスに通うようになって、色んなことに挑戦した娘。できることは確かに増えたし、言葉も出るようにはなってはいる。

 

ただ、幼稚園に入る前の発達検査では2歳9ヶ月。卒園前には2歳6ヶ月という結果に。

 

新しいことが出来るようになったが、根本的な理解度や他者との距離感などあまり変化が見られない。

 

支援センターの方にも「まだ自分の世界にいる」と言われた。成長してないわけではなかったが、その速度が緩やかだったのだろう。

支援学級で娘は本当にやっていけるのか?

悩みに悩んでいた我々も、幼稚園を卒園する数か月前には進学先を決めねばならない。

 

残り半年近くとなり素人では判断できないと思い、相談支援センターの方と面談を行うことになった。

 

私たちが一番気になっていたのは、

 

「娘は支援学級に行った場合、成功体験ができないのではないか?」

 

ということ。当時の娘はお漏らしすることも多く、稀ではあるがパンツにうんちをしたりすることもあった。

 

小学校一年生とはいえ周りはもう物心のついた子供たちだ。支援学級がメインのクラスとはいえ、通常学級にも通うことになる娘。

 

そこで排泄関係の失敗を繰り返せば、恥を感じて自信を無くし、自尊心を傷つけられて下を向いた子供になってしまうのではないか?という心配があった。

 

だが上でも書いた通り、支援センターの方の返答はこうだ。

 

「娘さんはまだ自分の世界にいて、他人からどう思われようが気にする段階ではなさそうです」

 

 月に二回ほど幼稚園に娘の様子を見に行ってくれていて、毎回適切なアドバイスをしてくれる専門家の見解だ。

 

つまり、私たち親が心配していた「周りからバカにされて自尊心を失うのでは?」というレベルにそもそも達していないという話だった。

 

加配とてんかん

そして相談した時に知ったのだが、支援学級に入ると加配の先生がつかないそうなのだ。通常学級に通えば加配もつくらしいが、うちの娘が通常学級は厳しい。

 

支援学級には支援学級の担当の先生が一人、通常学級には通常学級の担当の先生が一人。支援学級に入れば、娘を常に見守ってくれる先生はつかないのである。

 

娘には大きな問題がいくつかあったが、その一つがてんかんだ。

 

幼稚園に入ってから少しずつてんかんの発作がひどくなっていき、何度もてんかんで倒れたし入院も繰り返した。

 

いつどこで倒れるかわからない。

 

それに加え、薬の影響もあって怒ったら手に持ってるものは何でも投げるし、ドアも物凄い勢いで閉めないと気が済まない。 

  

要するに、てんかんの面でもコミュニケーションや危機管理の面でも、誰かが常に傍にいないと生活が難しい。

 

常時親がついてる子もいますよ、とアドバイスもあったが親には親の仕事がある。

 

親が側で見続けなきゃ登校できないなら、その環境は私たちの選択肢には入らなかった。

 娘の自立レベルとは

そして、もはや娘は勉強なんてどうでもいいレベルでもあった。

 

支援学級でも子供のレベルにあわせて勉強させてくれると言ってくれていたが、正直そのレベルに達していない。

 

・着替えはサポートなしではできない

・お漏らしも多く、トイレを一人で済ますことができない

・食事も手掴みでこねくり回してテーブルに擦り付けたり

・気に入らないとフォークやお皿も何でも投げる

 

加配の先生がつくものだと思っていた私たち。当然のように支援学級に通わせようと考えていた方針を変えざるをえなかった。

 

情報収集も甘く考えも甘かったのだ。 

 

そして現実を改めて知った上で、この状況では支援学級に通っても学校生活を楽しむどころではないだろうという結論に落ちついた。

初めて候補に挙がる特別支援学校

そこで初めて候補に上がったのが、特別支援学校だ。

 

今まで視野にすら入っていなかった特別支援学校であったが、見学に行った私たちは衝撃を受けた。

 

見学に行って素晴らしいと思ったのは、まず朝登校したら着替え。昼はエプロンをして給食を食べたら手洗い洗面。その他もスケジュールが決まっていてわかりやすく、かつ生活の役に立つことばかりであることだ。

 

また低学年の内は二人の生徒につき一人の担当の先生がつくとのこと。加配のように一対一ではないが、支援学級と比べたら天と地の差である。 

 

勉強は二の次感があるが、大きくなればお金の計算や販売の練習等もやるのだそう。子供のレベルに合わせて文字や数字の練習もするだろう。

 

正に実学じゃないか。

 

小学校というより、今後生きていく上で必要な実生活で役に立つことを教えてくれる場だ。

 

娘に限らず、私たち親が目指す子供たちのゴールは自立である。そのための第一歩として、身辺自立を教えてくれるこの場は最適ではないか。

 

とはいえ、支援学級に入ればそれはそれで様々な出会いがあり、特別支援学校では得られない経験を積むことができるはずだ。

 

支援学校で周りも障害児、先生方も専門家ばかりという環境ではメリットもあればデメリットもあるのだろう。

 

実際、私は娘の将来が狭まるんじゃないか?という不安がある。どっちが正解なんてことはない。

 

子供をどういう環境におきたいかという、親の価値観によって変わってくる選択肢だと思う。

親にできるのは環境を整えることだけ 

以上、悩みに悩んだ結果、娘は特別支援学校への入学が無事に決まった話であった。

 

現状、てんかんを繰り返し口よりも先に手が出てしまいコミュニケーションに難があるが、先生たちも一生懸命に対応を考えてくれている。

 

下記記事で特別支援学校の現実がどのようなものか、だいたいわかるはずだ。

 

 

クラスメイトも大なり小なり障害を持っている。その中でも仲の良い好きな子を見つけられたようで娘も毎日楽しんでいるようである。

 

おそらく、娘は発達障害の中でもかなりの重度だろう。知的の遅れを伴い、またてんかんもあるし小頭症と診断もされている。

 

年齢を重ねるにつれて、見た目と中身のギャップが大きくなってきて戸惑うことが多い。

 

だが、どんな子供でも親ができるのは同じではないだろうか。

 

子供がもっとも自由に素直に、自立した一人の人間として活動できる場はどんな環境か。

 

それらを日々自問自答し、子供の意見を聞き、子供が望むならどんなことでも全力でサポートすること。

  

幼い子供たちには環境を大きく変える力がないのだから、子供が生活する環境について親が全力で考えるべきところだろう。

 

そして、私と妻は支援学校に行かせて良かったと思っているというお話でした。

 

おしまい。

 

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