ステップファザーにできること

発達障害の娘とやんちゃ息子の父によるステップファミリーの話

声を出しちゃいけない場所での娘の大声に戦慄した話

ステップファミリーとなって一年以上経つので当然と言えるが、だいぶ娘の突然の大声やおかしな発言にも慣れてきた。

 

例えばスーパーで何かを見て

 

「きれいだねー!」

 

と大声で言いながらジャンプして拍手をしたり、夕方にすれ違った隣人さんに

 

「ぉはよまーしゅ!」

 

なんて言っても、「こんばんはだよ」と淡々とやり過ごすという処世術も手に入れた。

 

ところが先日、ゾッとしたできごとがあった。

 

それは休日に家族四人でプラネタリウムを見に行った時の話。

 

……これだけ書けば、察してくれるだろう。

 

そう、静かな空間で星を見るプラネタリウム。なぜ私たち家族はプラネタリウムに行こうと思ったのか?その謎もあるが、とにかくプラネタリウムを見に行った。

 

すると案の定、穏やかなBGMが流れる中で、

 

「きれいだねー、しゅごいねー!」

 

と娘が大声を出して喜んだのである。

 

まあ子供だしな、と思いながらも妻が「しーだよ、みんな静かに見てるから静かにしてね」と声を何度かかけたら静かに見てくれるようになった。

 

だがプラネタリウムの後半戦。

 

寒くないようにと妻が娘にジャケットを着せようとした時だ。

 

「かぎしめてー」

 

と娘が言い出した。大声だ。

 

ジャケットの前のチャックを閉めてほしかったようで、もうずっと、

 

「かぎしめてー!かぎしめてー!かぎしめてー!」

 

と壊れた機械のように連呼し始めたのだ。

 

妻は慣れたものなのか、「今しめるよー」と声をかけながらチャックを閉めていたがその間中ずっと「かぎしめてー」と訴えていた。

 

チャックが閉まったらすぐに落ち着いたようだし、時間にしたら十秒程度の話だろう。そこまで大きな迷惑にはならなかったはずだ。

 

だが私は静かに戦慄していた。

 

スーパーや病院に二人で行った時、多少娘が大声を出そうが変な行動をとろうがあまり気にはならなかった。

 

子供なんてそんなもんだし叫び続けるわけでもないから大した迷惑じゃないだろうと。

 

公の場で子供が大声出しても動じないなんて私も成長したなとドヤってたりもした。

 

だが甘かった。それは難易度の低い場所だっただけだ。上には上があったのだ。

 

プラネタリウムで「かぎしめてー」と娘が連呼する間、私は頭をかかえて「どうすんだこれ……」と絶望するしかなかった。

 

いやほんと、私一人だったら死んでるぞ。この案件は。

 

これを経験して、静かにできないなら入るべきではない場所があることを知った。

 

オーケストラや講演会がジャンルとしては近いな。

 

病院の小児科やスーパーとはレベルが違うぜと、妻がいてくれて本当に助かったなと冷や汗ものだった。

 

ちなみに、弟くんの方も

 

「ねーまだ? まだ終わらないの? ねえ、まだ?」

 

と一分おきに話しかけてきてそれはそれでうるさかったので、プラネタリウムに行くことはもう二度とないだろう。

 

子供と遊びに行く場所は雰囲気やノリで決めるものではないな。

 

その他関連記事