ステップファザーにできること

発達障害の娘とやんちゃ息子の父によるステップファミリーの話

息子に思い出の詰まった誕生日プレゼントをバラバラに引き裂かれた話

”たまには負け顔見せなさい”ということで、ステップファザーとなってから一番ショックを受けた話をしよう。

 

遡るのはまだ結婚する前の話。

 

娘の誕生日があったのだが仕事で疲れ切っていた私は何の準備もしておらず、またその当日は夜勤でもあった。

 

だがこれから一緒に住むし、誕生日は盛大に祝わないとな!と重い腰をあげ、昼からお店をまわって誕生日プレゼントを探した。

 

子供たちは誕生日など理解できる年齢ではなかったので、私は娘だけでなく息子の分のプレゼントも購入したのである。

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こんな仕掛け絵本をね。息子には車のこれ、娘には妖精のお部屋みたいな大きな仕掛け絵本だ。

 

さらにお菓子を山ほど買い込み、大きな袋に絵本をいれてお菓子と飴玉で埋めつくすという夢のようなプレゼントを作った。

 

結局その準備に夜までかかり、妻の実家の玄関にプレゼントだけおいてそのまま夜勤へ。サンタの気分だった。

 

そのあと子供たちはサプライズのプレゼントを期待以上に喜んでくれたようで、結婚してからもその絵本は大事に汚さないように保管されていたのである。

 

それから無事に結婚し、同居してから数ヶ月たったある日のことだ。

 

娘と息子が喧嘩をした。

 

息子がおもちゃや絵本で遊んでるのに娘が邪魔をする、とかそんな感じのいつものことだったので放っておいた。すると息子が、

 

「もう怒った!!姉の本ももう捨てる!!」

 

と言い出して、私が娘にプレゼントした大きな仕掛け絵本をバラバラに、細切れに破り捨てたのである。

 

まさかプレゼントの絵本を本当に破りだすとは夢にも思わず私は絶句した。

 

妻が止めようとしていたが、私がその妻を止めた。もういい、好きにさせろと。

 

そして息子は無表情で黙々と絵本を破り続けて、その絵本はただのゴミになった。

  

この時の私は言葉にできない程に息子に失望していた。

 

せっかくプレゼントしたのに、こんな仕打ちをするのか。

 

本当に、心の底から失望した。妻は絵本を破る息子を見ながら泣いていた。

 

そして私が息子に言った言葉がこれだ。

 

「君にはがっかりしたよ」

 

その絵本は私にとっても妻にとっても思い出の品だったのだ。

 

結婚前の多忙な時期に子供たちと良好な関係を築こうという私の思いが詰まった思い出のプレゼントで、決してくだらない喧嘩の延長線上でバラバラにしていい代物ではなかったのである。

 

それがステップファザーになって数ヶ月目に起こった、一番ショックを受けた話だ。

 

 

というのが、一年ほど前の話かな。

 

いやー、あれきつかったな。今書いてても胸が締め付けられる思いがするよ。

 

私たち夫婦にとって大事なものなら、息子が絵本を破るのを止めるという選択肢もあったはず。

 

だが当時の私は「とにかく好きにさせよう」という思いが強すぎて止めることはしなかった。

この記事を見て頂ければわかるが「好きにさせよう」で失敗ばかりだ。

 

しかも、

 

「がっかりしたよ」 

 

と告げた相手は3歳児である。正気を失っているなと今は思うぞ。

 

そして当時この事件は私を大いに絶望させた。

 

人の善意も好意も破り捨てるこいつはどういうつもりだ?こんなやつ愛せないだろ、愛したくもないわ。

 

だが今や私の息子だ。逃げ出すわけにはいかない。どうにかしてこの問題を乗り越えていかなければならない。

 

その結果、この事件をどう考えるべきか調べに調べて子供の特性としてわかったことがある。それは、

 

他人の気持ちや痛みを理解するには物理的に脳が成長している必要があり、4〜5歳にならないと人の痛みを理解することも想像することもできない。

 

これだ。

 

大人が当然のように行う思考を子供は物理的にできないということだ。脳が成長していないのだから。

 

例えば大人であれば、どれだけ怒っても高い家具を壊したりはしないし取り返しのつかないことはしない。

 

これが壊れたらあとからお金がかかるしな

これ思い出の品じゃん、さすがに捨てられないな

むかつくけどこれやったらこの人との関係はもう取り返しつかないな

 

脳が成長していれば無意識にこのようなストップがかかる。それが理性だ。

 

それが3歳の子供にはわからないのだ。

 

その先に何があるかも、壊れたらどうなるかも、バラバラに引き裂いた時に誰が傷つくのかも何もわからない。

 

ただただムカついた姉の私物を壊したい!

 

その思いだけである。

 

それを知ってからは少しは落ち着いた。子供はそういうもんなのかと。

 

そして、

 

大事なものを乱暴に扱われたり破られたりすると私や妻は悲しく思うこと、そして怒った時には物に当たるのではなくどうすべきかという指針を示すこと。

 

この辺の基本的な対応すらできていなかったのは、我ながら論外だな。だって相手3歳児だぜ。

 

それを説明して子供が理解した上でそれでもプレゼントを捨てたりするのなら、もう私にできることはないのだろう。

 

余談だが、この事件で思い出されるのが私が幼い頃。

 

上の姉二人が小学生に上がる時、その二人だけに親が勉強机を買ってくれたことがあった。

 

それが気に入らなかった未就学児の私と兄は二人してむかつきにむかついて、姉二人の勉強机いっぱいにえんぴつで落書きをしまくったということがあった。

 

私の記憶にはむかついたという記憶しかないが、その時の姉も親も相当に悲しんだはずだ。

 

うん。

 

子供なんてそのレベルだよな!

 

という、悲しみの果てに得た教訓の話でした。

 

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