私は四人兄弟の末っ子だが、3番目の兄は10歳頃から登校拒否になった。
不登校ながら中学は卒業したが高校は卒業できず、それからずっと家にいる。
書きたいことは色々あるが……そうだな。
以前もこの記事で書いたのだが、
兄は小学校の高学年で登校拒否となった時、かなり家族から責められていた。
母が絶対に学校に行かないという兄の顔を引っぱたいて怒鳴っていたこともあった。
長女もすごかった。
ある日、絶対に学校に行こうとしない兄に対し「何でお前学校に行かないんだよ!」と蹴りまくっていた。
それでも兄は何か柱に捕まって絶対に学校に行こうとはしなかった。
あの光景は今でも頭に焼き付いている。
あの朝、家には母も父も仕事でいなかった気がする。
兄が絶対に学校に行かないということで、我々兄弟は兄を説得するために学校には遅刻という状況だ。
長女だって当時は中学生で、今考えれば荷が重いとしか言いようがない。
めちゃくちゃやる姉だなと恐怖しか感じなかったが、長女だって何とかしようと思った末の行動なのだろう。
だが結局、姉が蹴ろうが母がビンタしようが、兄が学校に行くことはなかった。
そんな登校拒否から始まった兄のひきこもり生活だが、当初は家の中でも家族と一緒にいた。
家族と同じ部屋でテレビを見て、一緒にゲームをしたり遊んだりしていた。
だが20代も中盤に差し掛かるころか、段々と家族といるのも辛くなってきたのか部屋にこもることが多くなった。
今では、実家のベランダにある父の手作りの小屋(倉庫だったもの)でずっと一人で生活している。
朝昼晩と降りてきて、母が作った食事を回収してトイレに行って、また部屋に戻っていく。
もう何年になるだろうか。ずっとこんな生活を続けている。
うーん。あまり兄の個人的なことを書きすぎるのは控えたいのだが、そうだな。
私はこの兄が好きなのだ。
話せばとても面白い人で、独特の感性をもっているし物事をしっかり考えている。
少し頭がおかしいところはあるが、それは私も同じである。
だからたまに兄が住む小屋へと話に行くのだが、気づけば数時間経ってしまうくらいに話が盛り上がる。
いつ話しても面白い、私にとっては大好きな兄である。
だが頻繁に会いに行き過ぎると露骨に嫌な顔をされ「来ないでほしい」と言われて傷つくというのを何度も繰り返している弟の私である。
長年ひきこもり続けても、変わらない兄なのは嬉しいことだ。
そんな兄だが、ここ数年は何とかしようという意識が見られるようになった。
あまりにひきこもりが長くどうしていいかわからなかった我々家族が心療内科に通うことを検討するように話したら、しぶしぶながら了承して行ってくれた。
結局薬が合わないと通院をやめたが、きっと兄が前に進むために必要なのは薬ではないのだと思う。元気だし。
30を超えて、初めて派遣会社に登録して単発だが働いたこともあった。
8時間のフルタイムの製造業に次女と一緒に参加したそうだが、兄は長年のひきこもりだ。
立っているだけで限界がきて、途中から雑用にまわされてしまったと苦笑いしていた。笑ったな。
また本人曰く、
「自分は普通の人が働くような場所では働けない。何か障害者枠のようなところに潜り込むしか生きていく術がない」
などと炎上必死な不謹慎なことも言っていた。
まあ、長年のひきこもりでかなりどもり(吃音)がひどく、兄が普通の職場に行きたがらないのはわからなくもない。
そこで、就労支援だったかな。そんな感じの手続きをして相談員もつけてもらっていた。
だが定期的に仕事に行かなければならない環境では中々長く続けることができず、父の死をきっかけにやめてしまった。
今度は新聞配達をやってみようかと言い始めてからもう半年近く経つ。
行動は遅いが、きっとやるんだろう。そういう人だ。それでいいんじゃないか。
うむ。そしてたまに私が兄に言うのだが、外に出て働くのが絶対ではない。
パソコンがあれば何でもできる。
ブログもできれば、絵も描けるしプログラミングもできる。歌うたってもいいし、Youtuberになってもいい。
わざわざ外に出ることにこだわる必要あるのか?と私は疑問である。
だから数年前に「これでお金を儲けてくれ」とパソコンをプレゼントしたことがあった。
一時はアフィリエイトのぺらサイトを大量生産し、Youtubeにタイトル詐欺の釣り動画をあげまくってBANされるくらいのやる気を見せていたようだ。
努力の方向がおかしいんだよ!
と突っ込みたくなったが、やろうと思えば何でもやる人だとわかる。
今のところネットで稼ぐことに興味を失ったようなのが残念だ。
まあ何でもいいから金を稼いで欲しいものも手に入るようになれば、また見えてくるものもあるだろう。
あれ、何でこんな話したんだっけ。
そうだ。そんな兄が先日、34歳の誕生日を迎えたのである。
本を読むのが好きな兄なので私のおすすめの本でもプレゼントしようかとも思ったが、結局図書カードをプレゼントすることにした。
たまには外に行って、自分で好きな本でも選んできたらいい。
まあね、私だって元ひきこもりだから、兄の気持ちはわからなくもない。
家族から延々何か言われても、心に響くことはない。
自分から変わりたいと思わなければ変わることはないのだ。
だからまあ、私にできることなんてほとんど何もないのだろう。
これは兄の人生だ。
自分のペースでやりたいようにやって、後悔のない人生を送ってほしいと願う。
誕生日おめでとう。
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