引っ越したのにやたらと実家に帰るとんぼである。ごきげんよう。
少し前の話になるが、実家に泊まった時に私の姉、長女と話す機会があった。
深夜だしちょっと深い話をしても問題なさそうな雰囲気だったので、少し突っ込んで聞いてみた話だ。
「長女は父を憎んでるんでしょ?」
長女と亡き父の関係性
突然何で長女にそんなことを聞いたかと言えば、そうとしか思えなかったからだ。過去にもこんな記事を書いた。
父が亡くなったのは私が結婚するのと同時期、二年前になる。
上の記事でも書いた通り、それからの長女の父に対する発言はずいぶんと辛辣なものが多かった。
「お父さんは地獄に落ちて当然でしょ?人に迷惑かけまくったんだから」
「今思えば、あんな人が存在したって考えられない。本当に恥ずかしい」
とか。私は別に恥ずかしいとは思わないと軽く反発したら、めちゃくちゃ怪訝な表情されたり。
それにまだ父が元気な時も、毎日のように長女は父に怒っていた。話しかけられたら無視が当たり前だし、「うるさい!」と怒ったり舌打ちしたりとか。
実際父親が憎まれる要素はなくもない。
借金漬けで家族にも親戚にも迷惑をかけた。何に使ったかいまだにわからない数百万の借金があったし、親戚が何度も借金を返せと実家に押しかけてきた時期も。
父と長女は性別も違うし、母から父の愚痴を聞かされまくった長女が父を憎むのも仕方ないなと感じていたのだが。
長女は実際にどう感じているのか
で、本題だ。恐る恐る長女に「父を憎んでいるんだろう?」と聞いてみたら、返ってきた答えは意外なものであった。
「何言ってんの?お父さんが憎いなんて思ってないよ。どれだけ世話になったと思ってるの?」
えぇ、まじ!?毎日のように文句言って喧嘩してたじゃん!
と何度か突っ込んだのだが、長女の答えは私が想定していたものとは全然違っていた。
長女はいう。父にかなりお世話になったのだと。
それは高校生の頃、長女は荒れていた。タバコも吸っていたし、彼氏の男友達らとつるんで夜中に出歩いたりと勉強する気もゼロ。
聞けば学校も何度も早退し、卒業できるかどうか危ういレベルだったらしい。さらにタバコがばれたりとか、まさに問題児。
学校から親が呼び出されたことも度々あったらしいのだが、その時に必ず来てくれたのが父だったという。
人当たりがよく誰とでも仲良くなれた父。呼び出される度に何度も先生に謝ってくれたようで、それがあったおかげで長女は高校を卒業できたそうだ。
先生も「いいお父さんだな」と言ってくれたとか。
あと基本的には朝の送迎も帰りの送迎もすべて父。早退した時も父を呼びつけて、父をタクシー代わりに使っていたんだって。
う、うむ。確かに、お世話になりまくりだな。
そんなこともあって父親に感謝しているという長女。父の日には父が好きだったビールを買って来て仏壇にお供えもしたようだ。
借金で周りに迷惑をかけたのが人としてありえない、というだけで父親として嫌いなわけじゃないという長女。
そんな話をしていたら長女がボロボロ泣いていたので、気づかないふりをして私は寝ることにした。
親子ってのは不思議なものだね
以上、長女がなんだかんだで父のことを憎んでいないとわかった話であった。
父も、長女がどれだけ問題児で迷惑をかけたとしても見限ることはなかったし、無視されたり大声で罵倒されるのに毎日ように話しかけていた。
長女は長女で周りに迷惑をかけまくった父が恥だと思いながらも、それでも今でも父を思って涙を流したりする。
あれだけ仲が悪くて喧嘩ばっかりしてた二人。どう見ても相性最悪だったのに、わからないもんだ。
親子ってのは、なんとまあ不思議な関係だね。そう簡単に切れるものじゃないと思い知らされる。
私が思っている以上に、親が子供達に与える影響は計り知れないということでもある。
成長しなければ。