確実、は言い過ぎだと自覚してるとんぼである、ごきげんよう。
ただ、そういうことだよなぁと思うんだ。何事もコツなんてないし、地道な努力によってしか勝ち取れないものがあるんじゃないか。
書きたいこと書いたら凄く長くなってしまったので注意されたし。
娘の暴力の行方は
娘に叩かれた蹴られたことも書くこのブログ。娘の手が出るようになって5年ほど経つから、何をやっても改善しない迷宮入り案件になっている。
何をどうしたら改善するのかわからないし、今やっている対応が効果があるのかもわからない。
効果が出るのに数年かかる可能性もあり、本当に正しい道を歩んでいるのか正直誰もわかっていない。
特別支援学校の先生も、担任が変われば対応が変わる。引っ越しして学校が変われば根本から対応が違う。デイの対応もまばら。薬が変われば状態も変わるのも厄介だ。
これまで特別支援学校の先生のアドバイスを守っても改善が見られないことも多く、悪化の一途を辿っている。
どうしようもない感は強い。無意識に諦めているかも。
薬でどうにかなってくれ、成長と共に落ち着いてくれ、てんかんが落ち着いたら何とかならんか??
とか、時の流れで何とかなってくれることを祈っている感じ。まぁ、無理筋だろう。
強度行動障害を学ぶ
先日、義母が新聞の切り抜きで強度行動障害の記事を見せてくれた。
強度行動障害とは何か、以下引用。
強度行動障害とは、自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、危険につながる飛び出しなど本人の健康を損ねる行動、他人を叩いたり物を壊す、大泣きが何時間も続くなど周囲の人のくらしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態のことを言います。
強度行動障害支援者研修資料 | 国立障害者リハビリテーションセンターより
平たく言えば、異食・他害・自傷・器物損壊などの問題行動がめちゃくちゃ多いのが強度行動障害である。
現状、うちの娘は手が付けられないほどの高い頻度ではないため、当てはまらなさそうではある。が、将来の娘がこうなる予感がする。冗談抜きに。
非常に興味深いものだったので、国立障害者リハビリテーションセンターのHPに掲載されている強度行動障害の研修資料をざっと確認、いろいろと気づきがあったのでまず紹介する。
私は数日前に強度行動障害を知っただけの素人なので、ソースを確認したい人はこちら。
理解は浅いかもしれないが、一応素人なりにさらっと解説するぞ。
強度行動障害とは先天的障害ではない
まず強度行動障害とは、"環境や他者との関わりの中で生じる状態"という定義が非常に興味深い。
周りの環境と関わり方によって本人が困っており、それも理解されず、鬱憤がたまる。その結果が問題行動として現れ、定着してしまったという考え方。
つまりは周りの環境と関わり方を見直すことで問題行動が減っていくというのだ。
またデータでは、強度行動障害が重篤化するのは思春期、特に高校生あたりがピークになることが多いらしい。
小学校までにある程度の環境や関わり方を変えていくことが重要だという。
娘の場合も今はまだマシだが、あと数年後にどうなってるかが怖い。
強度行動障害とは学習の結果である
問題行動、うちの娘の場合で言えば他者への暴力になるのだが、これは学習の結果だという。
本人が何か困った時に、どうしていいかわからない、誰も理解してくれない、適切な行動がわからない。そんな時に手が出てしまう。
周りはどうすべきか代替行動を伝えてはいるものの、娘には難しすぎるのか、伝わっていないのか、環境そのものが悪いのか。
別の適切な行動を学習することができず、暴力で表現するしかない機会が増え、暴力を学習する。
学習の結果であるなら、別の行動を学習し置き換えることも可能だろう。ただし定着した行動を置き換えるのは根気がいりそう。
私見では、一般的な習慣化のテクニックや悪習をやめる方法なども効果があると思われる。特に本能に訴える系は娘にも効果があるのは実証済み。
問題行動を軽減するには??
上で紹介した研修資料しか読んでないので何冊か本を漁って深掘りしたいところなのだが。
ざっとみた感じ、強度行動障害の問題行動を軽減する方法は以下の三つ。
相手の感情、気持ち、言いたいこと、伝えたいことに理解を示し、共感すること。
こんな時はどうすればいいか、本人に伝わりやすい方法でこちらの言葉を伝える。(絵や写真など)
問題行動が起きた環境や条件、また関わり方を分析し、どのような条件であれば次から同様のことが起こらないか対策をたてる。
かな。
うーん。数年前に私がやろうとしてたことそのものである。対策もそれなりに立ててきたのだが。
優先順位を知らなかった話
問題行動が増加するNG対応もいくつかあった。
身体拘束は問題行動を増加させる。
問題行動を強制的に止めることは問題行動を増加させる。
暴力が出るからと何でも好きにさせることも問題行動を増加させる。
うーむ。
確かにそうなんだろうと納得するのだけど、気になるのは支援学校の先生方の話。
今まで先生方から、娘が叩いてきたら手を掴むのがいいとアドバイスをもらってきた。
何人もの先生からそう聞いてきた。暴れたらはかいじめにするという先生もいたし、安全確保のために抱きしめるという先生もいた。
プロの専門家が言うのだから間違いないだろうと自宅でも実践してきたが、でもこれって身体拘束ではないか。
介護職だった私の経験からすると、手を掴んで静止するのは身体拘束だし、はかいじめとか当然身体拘束だし、ベッドに四つ柵をつけるだけで身体拘束となる。
本人が少しでも自由に動けないのはアウトだった。施設によるのかね??
とにかく支援学校の先生が教えてくれた助言は、(さまざまな理由があるにせよ)本人にとっては身体を自由に動かすことを強制的に阻害されている。
となると、これらが問題行動の増加に繋がっていると考えるのが自然である。娘は強度行動障害ではないけども、予備軍と想定してね。
この件を少し考えてみたところ、0・100で考えてた私の受け取り方がまずかったのかしら。
他者に怪我をさせる恐れがある、娘が怪我をする恐れがある、器物損壊の可能性があるなどなど、学校では"身体拘束による悪影響を考慮する前に強制的に自由を奪わなければならない時"が多いのだろう。
取り返しのつかないことになる前に、何がなくともまずは止めなければならない。
それが学校による身体拘束なのではないか。叩く前に手を掴めば暴力は減るという先生もいたが……これはどういう心理プロセスで暴力が減るのかプロの意見聞いてみたい。
で、ちょっと思ったのは、自宅での攻撃、特に私への攻撃に対して身体拘束するのはどうなんだろうってことだ。
正直、娘の攻撃の程度はわかっている。どんな攻撃がくるかも大体わかるし、そこから発生するリスクも、どこまでの被害が出るかもほぼわかっている。
つまり私が殴られ続けたところで取り返しのつかない事態になることがほとんどないと知っている。
であれば、強制的に手を止めなくてもいい気がする。むしろ暴力を増加させる悪手ではないのか。
手を掴まず、身体拘束せず、理解を示し、共感し、わかりやすく別の行動を伝えていく方が建設的なのではないか。
私は一旦殴られ続けるけど、別の場所で同じケースがあっても攻撃しなくなるなら成功したと言える。
なんだろう。言いたいのは、すべての状況で叩かれる時に手を掴むのは正解ではないんじゃないか?ってことだ。
実際、手を掴んだら足が飛んでくるようになったしさ、じゃあ次は足をおさえたらいいのかね?足おさえて頭が飛んできたら、次は頭をおさえる??
プロレス技覚える必要がありそうだ。
身体拘束のレベルをあげていくよりは、今のうちに叩かれても一旦は我慢して、それより共感して怒りをおさめてもらって、別の行動をわかりやすく伝えた方が有意義なのではないか。
手を捕まえるって対応も、娘がでかくなりすぎて妻や義母では無理、息子はもちろん無理だ。
暴力行動を軽減するという意味で効果を感じたこともない。3年くらいやってても足が出るようになった。
単純に、娘に合わんという可能性もあるか。十把一絡げにはいかないですよね。
娘の暴力を確実に軽減する氷山モデル
ここからが本題のつもりだったが、長くなったのでさらっと書いて終わりにする。
強度行動障害へのアプローチとして、氷山モデルなるものがあるそうな。
現実に起こった問題行動を氷山の一角と捉える。目に見えている問題行動だけに対応しても意味がなく、もっと奥の目に見えない部分にアプローチしていく。
例えば本人の特性、こだわり、周りの環境、状況……などなど、なぜこの問題行動が出てきたかを深く理解し、必要なサポートが何かを考えて、周りの関わり方も含めて今度同じことがあっても問題行動が起きない状態を作り出す。
これが氷山モデルである。
思うに、これをやれば確実に娘の暴力は軽減するだろう。
例えば、さきほどソファで足を伸ばして寝っ転がっていた息子が邪魔だったらしく、娘が足を踏んづけた。
この問題一つを、氷山モデルで考える。踏んづけたのが氷山の一角だ。この踏んづける足を強制的に止めてもほとんど意味がない。
氷山の奥深くを深く見ると、
・娘には、ソファは座るもので寝っ転がるものではないというこだわりがある
・通り道に息子の足があって確かに邪魔ではあった
・てんかん発作もあって疲れ気味であった
・帰りが遅くて食事時間が押していた
ぱっと思いつくだけでこれだけある。
我々にできることとすれば、ソファの位置を調整するとか、息子には通り道だから人がきたら足を引っ込めるように教えてもいいし、疲れ気味の時は娘だけ先に寝かせてみるとか、時間が押してても薬だけは毎晩同じ時間に飲ませるのも良さげ。
もちろん娘にも、どいてという言葉や回り道を教えるなど、代替行動をわかりやすく伝えてみる。
人形劇なんかで教えてもいいね。娘に頭ごなし怒るのではなく、理解を示し、伝える。
……もちろん息子へのフォローは必要だが、これはまた別のお話。
みたいな、足を踏んづけたというたった一つの、いつもなら流してしまいそうな暴力を、ここまで、いや多分もっと分析して対策を考えるのだ。妻や息子の意見も聞けるとさらにいい。
手が出たらその都度その都度、同じように氷山モデルで考え、対策を講じていく。問題行動を流さず、頭ごなしに怒らず、安易な解決策を望まず、淡々と分析し対応していく。
ここまで徹底的にれやれば、暴力は限りなくゼロに近づくと思いませんか??
何より、娘のストレスが減っていくのが大きいか。
甘くみてたよね
なんかねぇ……
叩いてきたら手を掴めば暴力が減るとか、叩いてきたら注意したらOKとか、精神安定剤を増やせばいいとか、優しく受け入れれば叩かなくなるとか、すごく甘くみてたんだなぁって思います。
何か一つ魔法の行動をとるだけで、すべてがうまく流れていくような、そんな錯覚。
いやいやそんなに現実は甘くありません、残念。
問題行動はあらゆる場面で起きるわけだから、あらゆる場面でその時々に応じた対策を考える必要がある。
風呂、トイレ、食事、買い物公園車に着替え。
大小関わらず攻撃する姿を見たら、その一つを大々的に問題として掲げ、分析し、対策を練る。一つ一つ、丁寧に丁寧に問題を解決していく。
……w
面白いよね。何もかもこれ一つで解決するみたいな、魔法の声かけやら注意やらがあると思ってたんだから。
あっはっは。ないよそんなの。
このままいけば、数年後にはさらにでかい娘に顔面グーパンいかれてるね。
というわけで、目立った行動からちょっとずつ分析する癖をつけてみたい。
家族をチームとして考えた方が良さそう。ゲーム感覚で、叩かれることに対する嫌悪感も減ってある意味面白そうでもある。
どこまでできるかわからんけど、これしかない感はある。
……もっと簡単で効果的な方法があるのかもしれない。でももう5年やってるからねぇ。一歩ずつ丁寧にクリアしていく地道な努力を覚悟してもいい頃合いだ。
あー書きすぎた、おやすみなさい。
ここまで読んでいただき感謝。
↓のウサギをポチすると、さらにとんぼが喜びます。