引っ越しで本を整理していたら、こちらの本が出てきて久々に読んだ。
山崎邦正、今では月亭方正と改名して活動しているお笑い芸人兼落語家である。
テレビでたまに見るだけでは、なんで名前変えたのかな、もったいないとか思っている人もいるのではなかろうか。
いじられキャラという印象がある人も多いだろう。だが、この人が落語家になる話はとてつもなく面白い。
今回はそんな月亭方正氏が落語家になった話を私見を交えて紹介していきたい。
山崎邦正の芸人時代
山崎邦正はいわゆる”いじられキャラ”で芸人人生を突っ走ってきたが、40になるころにとても不安になったという。
営業に出た時に、ちょっとしたギャグやテレビで何度も話しているようなエピソードトークしかできない自分に納得できなかったのだ。
20年もやってきて、これといったネタもない。こんな芸人でいいのか?
そんな時に芸人仲間から勧められたのが「落語」だったそうな。
最初は拒否反応を示すも、試しに一度聞いてみたらもう面白くて面白くて、どはまりした邦正さん。
古典も新作もとにかく聴きまくって、Ipodに2000席の落語をいれて聴きまくり。当然聞いてたら自分も落語がやりたくなって、落語の練習まで始めていく。
このパワーがすごいよね。見習いたい。
落語に出会ってから
そっからはもう速いもので、落語家の友人に話をつけてもらって師匠の勉強会に参加させてもらったり。
自分が勉強している落語をお客さんの前でお披露目させてもらったり、師匠から「月亭」の名前をもらったり。
さらに普通だったら絶対に稽古なんてつけてもらえない立川志の輔師匠に、直談判して落語の稽古をつけてもらうとか。
ちょっと信じられないくらいの行動力で落語家としての活動を広めていっている。
そして落語に出会ってから数年、山崎邦正か月亭方正かはっきりした方がいいんじゃないかということに。
お世話になったダウンタウンにも決意を話してけじめをつけた上で、落語家「月亭方正」として生きていくことに決めたのだという。
何がこんなにすごいのか
この月亭方正氏の本を読んで感じるのは、面白い!と思ったことに対するパワーがものすごいということだ。
書籍の中で、志の輔師匠と月亭方正氏の会話の紹介があるので一部引用しよう。
そこで師匠に訊かれました。
「どうして落語なの?」
(中略)
「実は僕、二年前に初めて落語を聴きまして」
「……あー、そう!そうですか!それでスッとした。出会っちゃったんだ」
「僕が落語家になった理由」より
この「出会っちゃった」という一言に、全てが詰まっていると感じる。
芸人としておそらくそのまま生活もできただろうし、知名度もある。何もしなくても生き残れる世界ではないはずだが、それでもここまで大きく舵を切る必要はなかったはずだ。
でも、出会っちゃったのだ。方正さんは落語に出会ってしまった。ただそれだけじゃない。それで生きていこうという覚悟ができたのだ。
正直、今までの「山崎邦正」を捨てて「月亭方正」として生きていくなんて博打もいいところ。
だが覚悟は決まっていたのだろう。落語家としての活動をはじめてから、東京から大阪に引っ越したそうだ。
芸能人ももはやサラリーマンに近いとすら感じる昨今であるが、これできることじゃないよなー。尊敬してる。
わくわくすることをやれる勇気
以上、落語家・月亭方正氏の紹介であった。
テレビですべりキャラとかいじられキャラとしか映らないが、本を読む限りやりたいと思ったらとにかく即座に行動に移すとても魅力的な人だ。
いやーいい本だよ。おすすめの本。
たださ、現実問題、わくわくすることに出会うのって結構難しかったりする。気づいたら、誰かの求める自分になろうとしてたりする。
そして自分が本当にやりたいこと、わくわくすることを見つけられたとしても、そこに飛び込む勇気があるのかも重要な問題だ。
山崎邦正氏が落語に出会った時も「どうせ無理だ」「いまさらなぁ」「今の地位は捨てがたい」なんて思ったら、そこで終わりである。
いくらわくわくしたとしても、行動しなきゃ何も変わらないのだ。当たり前だけどね。
だからこそ、掛け値無しに楽しいと思えることに出会っちゃったのならば、全力でいけるような人でありたいね。
一応私としてはこのブログが全力のつもりなのだが。まだまださね。
今回紹介した本はすでに絶版ぽいが、調べたら新著が出ているようだ。欲しい。
またYouTubeに月亭方正氏が実際に落語を披露している動画もあるはずなので、興味のある方は調べてみては。