娘が寝なくて困ってるとんぼである、ごきげんよう。
今日は特別に寝つきが悪いな、2時間以上寝つかないのは想定外だった。参った。こういう時にブログが生活の癌だなと思う。ブログなけりゃそのまま寝られたのに。
自分に鞭を打って夕方に頑張るしかないと決意して、今日聴き終えた本の感想でも書く。ふわっとネタバレも書くので注意。
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湊かなえ
現在湊かなえさんの小説にハマっており、10冊近く読んだ。
最初は単なるミステリ作家として読み始めたのだけど、この人が描きたいのは親子の歪んだ愛とか毒親とかそういうテーマのようだ。
大体の作品において親子の関係性に言及があり、大体の作品において親子の関係性に問題がある。
耳を塞ぎたくなるような醜悪な親もいれば、こういうの普通にいるよなーと感じる親もいる。
別に糾弾されるような子育てでもないのに、子供の受け取り方によって人格が歪んでいくのが興味深い。
親の何気ない一言を子供が重く捉えてる場合がある。そこに違和感もなく説得力もあるから勉強になる。面白い。
小説を読もうと決めて早々に湊かなえさんに出会ったのはありがたいところだ。子育てに悩む私が欲してた本と言える。
殺人が絡む本ばかりではあるものの、自分の毒親っぷりも少しずつ形を帯びてきて理解しつつある。
とはいえ、現代で毒にならない理想的な親はほとんど存在しないのではないかとも思うよ。
原始時代とまでは言わないが、もっとこう技術が発展してなくて物事がどれもシンプルで単純だった時代でないと難しいのでは。
現代ならおそらくほとんどの親が毒親になるのではないか。特に今の親世代って戦前〜戦後世代の親から生まれた子供でしょう?
激動の時代に育てられた子供なんてほぼ愛着障害で、その子供も愛着障害になる可能性が高い。戦争による悪影響が落ち着くのは何世代か先ではないのか。
まあ毒親の定義がアレだけど、多少の毒なら薬になると考えると程度の問題かもしれないな。完璧な親は存在しないので。
母性
毒親が描かれている湊かなえ作品群のなかでも、『母性』はよかった。毒親を知るにはとてもいい。
この小説の中に、女性は2種類に分かれるといった話が出てくる。
母親になれる人と、母親になりきれず娘のままでいる人。要は親になり母性を持てる人と、親になっても母性を求めてる人。
性別に限らず、根本はこれだよなあと思う。
愛されたい子供のままでいるのか、自ら愛する親になるのか。これを乗り越えられるかが毒親から脱皮する鍵だと思う。
簡単ではないよ。愛される存在から愛する存在になるのは。勇気もいるし根気もいるし傷つくことも多すぎる。
それでも親になれるか?
と問われれば、その覚悟がない親も数多くいるだろう。
『母性』に出てくる主人公の女性も親になれない人。ずっと親から愛されることだけを望んで生きている。娘ができたのに自分も娘のままだ。
母親を喜ばせること、母親に愛されることだけがこの女性の人生の指針である。
なんとなく引っかかったのは、その強く求められている母親が理想的な親として描かれていること。
マザーテレサじゃないけれど、何もかもを受け入れて子供を愛してる的な。
悪いところは出てこないし、最期のやり取りを見てもおそらく本当に子供のことを愛し、考えている人だったのだろう。
少なくとも自分の命よりも子供を上にしてた。未来に繋げたいと強く願っていた。
それなのにその愛情深い母に育てられた子供(主人公)は、大人になっても親になっても母親から愛されることばかりに執着していた。
なぜ満たされてなかったのか?毎日優しくされて暖かい言葉をかけてもらっても自立できなかったのか?
わからんが、何となくの答えは褒めすぎかな、と。甘やかしすぎとも言えなくもない。
親から褒められることだけが行動のモチベーションとなり、自立とは程遠い精神状態だったのは間違いない。
全体から感じたのは理想的な母親に見えて自立を妨げている雰囲気。子供が自分軸で考えることができない状態にさせてるような。
親に依存してる子供相手に思想を語りすぎ感もあるから、あえて親の方から距離をとった方が子供にとってはプラスだった可能性がある。近すぎたのかも。
まー子供本人の性格もあるだろうけどさ。人間心理的に、親から愛されている確信が持てたら安心して外に飛び出して行くはずなんだよ。
それなのに親から認められないといけない強迫観念があるようだし、嫁いびりの激しい義母に尽くすのも異常っちゃあ異常だし。
私もそういうところがあるからわからなくもないが……こんな良さげな母親を持ってるのに子供のまま親になるなんてね。
母性が自然に湧き出てこないなら、自らの意思で勇気を出して親になるしかないのだが。それもできない。
フィクションながらに考えさせられる。
私の言葉をそこそこに重要視してるっぽい息子に、何か思想を語るのは控えたいなと思ったよ。黙るのも愛情の一つか。
愛の伝え方
あと一つ、この物語の主人公家族はすれ違いばかりだ。三者三様でそれぞれが好きだったし言わば愛していたはずなのに、誰もが愛されていないと感じてる。
多分それは伝える方法が間違っていたんだと思う。先日紹介した愛の言語の本を思いだした。
例え相手を愛していても、その伝え方がずれていると相手は愛されているとは感じない。ありがた迷惑なんてことにすらなりかねない。
そういう意味で、やはり普段からの言葉でのコミュニケーションはとてもとても大事なのだと思う。言葉で伝えないとわからないことは多い。
……難しいよね。
そもそもやれって言われて何でもできるなら毒親なんて存在しない。親は親で苦しんでて、わかっているけどできないことがある。
その心の葛藤に気づき、どう折り合いをつけるかが親の仕事なのかもしれない。
親って難しい
湊かなえ小説を片っ端から聴いて改めて思うのは、親って難しいなぁってことだ。
守ってるつもりが過干渉になって、距離を置いたら見てくれてないとなり、冗談を言ったらそれが深く傷ついたトラウマになる。
喋りすぎるとそれが親の望んでいることだと過剰に捉えられ、喋らなさすぎると何を考えているかわからないとなる。
制限しすぎたら窮屈だし、制限しなさすぎたらネグレクト。
どれもこれもわかるんだけど、リアルタイムで親をやってると何が何やらって感じだよほんと。
これが原始時代だったら子育て楽だったろうな。急に隣の部族から殺されることはあったかもしれないが、子供とのコミュニケーションはとてもわかりやすかっただろう。
さて、では現在の育児の指針を書いて終わりにしよう。
子供には多くは語らず手も出さず基本は見守り、生活や人生に大きく関わることについては子供を怖がらずに向き合って話し合う。そしてまた子供の自主性を見守る。
これかな。あとはしっかり顔を見てポジティブな言葉をかける。おかえり、ありがとう、おめでとう、よかったね……など、過剰に褒めることはしない。
大抵のことはスルーでいいけれど、何でもかんでもスルーはよくなくて。
このさじ加減が親の腕の見せ所ってところでしょうか。親の心の闇をいかに解消するかという裏の仕事もある。
子供を作りたくない人が増えた理由がわかるわ。何も考えずに育てたらまず毒親になるし、その上で経済的な問題まであるってんだから。
そりゃ子供がいない方が楽だ。
まあ育児は楽しいことも多くあるから人それぞれやね、と適当にまとめておしまい。
最後にオーディオブックでお世話になってるAudibleをおすすめして、寝る。
ここまで読んでいただき感謝。
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